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昼前に外回りで住宅街を歩いていると、公園で顔見知りの女性を見つけた。
「あっ…こんにちは」
「あぁ、タエコさんの旦那さん。こんにちは」
動揺しながらも挨拶をすると、笑顔で挨拶をかえされた。
「うちのがいつもご迷惑をおかけしてすいません」
「いえいえ…そんな事ないですよ」
「こないだも帰宅した途端に『可愛くないって言われた』って叫ばれて…て、変な事言ってすいません」
頭を掻きながら誤ると、女性は慌てて手を横に振った。
「気にしないで下さい。なぜか私が『可愛くない』って言った事になってるとは、周りから聞いてちょっと心外ですけど…」
「本当にすいません」
「確かに私はそんな事は言ってません。でも、旦那さんだけは奥さんを信じてあげて下さい。どんなに間違ってても。人間は弱い生き物だから誰か一人は信じてあげないと、駄目になっちゃうんです」
「はぁ」
気の抜けた返事をすると、背中を勢いよく叩かれた。
「頑張って下さい」
軽く会釈して去って行く女性の後ろ姿を、呆然としたままいつまでも見送る。
言っている意味は分からなかった…
俺がタエコを信じてないからいけないのか?
タエコがあんなに堕落したのは俺のせいなんだろうか??
答えは出そうになかった…
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