挨拶

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玄関を開けた時の、サヤの笑顔が好きだ。安心したような嬉しいような…なんとも言えない笑顔を見せてくれる。     「お帰り」   「ただいま」     家じゃあんまり言わない挨拶も、サヤが相手だとすんなりと出てくる。     「今日は遅くまでいられるよ。昨日は淋しい想いをさせちゃったからね…」     時計を外すとテーブルの上に無造作に置く。サヤは一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに悲しげな顔になる。     「優しいのね」   「意地悪な言い方だな」   「そう?」   「俺は弱いから…あんまりいじめると来なくなっちゃうぞ」     言った後で後悔した。こんな言い方したら、サヤが気にするに決まってるのに。 俺と居てサヤは幸せなんだろうか? 俺は優しい事なんか言えないし、いつも一緒に居れないのに…
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