84人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関を開けた時の、サヤの笑顔が好きだ。安心したような嬉しいような…なんとも言えない笑顔を見せてくれる。
「お帰り」
「ただいま」
家じゃあんまり言わない挨拶も、サヤが相手だとすんなりと出てくる。
「今日は遅くまでいられるよ。昨日は淋しい想いをさせちゃったからね…」
時計を外すとテーブルの上に無造作に置く。サヤは一瞬嬉しそうな顔をしたが、すぐに悲しげな顔になる。
「優しいのね」
「意地悪な言い方だな」
「そう?」
「俺は弱いから…あんまりいじめると来なくなっちゃうぞ」
言った後で後悔した。こんな言い方したら、サヤが気にするに決まってるのに。
俺と居てサヤは幸せなんだろうか?
俺は優しい事なんか言えないし、いつも一緒に居れないのに…
最初のコメントを投稿しよう!