1・月夜に吠える

2/11
1889人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
銃弾が私の頬をかすめた。 天を突き刺すかのように 立ち並ぶ、 高層ビルのジャングルの中、 その路地裏。 ビルと ビルと間からは 真っ赤に燃える満月が 私にニコリと笑う。 次々と鳴り響く銃声たちが 私の耳を襲撃し、 その度に ヒュンヒュンと 私の体の部位をかすめ、 少しばかりの痛みを伴う。 かろうじて、それらを かわし続けていたが、 いずれは 肉体に弾がめり込む・・ まあ、1発や2発じゃ 重傷にもなりはしないが 後が面倒だ・・ 大体、何だ・・ 何で 私は 人間に狙われている? 何も私はしていない・・ 敵の姿は  よく見えなかったが、 相手は明らかにプロだ。 そこらへんの チンピラじゃない。 確実に私の急所を狙って 射撃してくる。 とにかくも、 まずは 奴らから逃げることだ・・ 相手が人間なら 正当防衛でも、殺害すれば 大問題になり 人狼と人間の関係が 急速に悪化してしまう。 私は、 路地裏のゴミ箱を 蹴飛ばしながら 走り出した。
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!