1・月夜に吠える

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暗くサラサラと 流れる川の上 錆付いた橋を渡り、 川を覗けば 揺れる月。 前方、約3メートルに 黒いコートを着た 女性が見えた。 その女性は長い黒髪に 少し面長で痩せた・・ いや、痩せこけた顔。 川の水面を見つめる 冷たい眼差しは どこか悲しげで、 どこか怪しげ。 明らかに 危険そうな女であったが 犬のふりをして 通りぬけようとし、 彼女の横・・30センチを 四足歩行した その時、 その女は  こう私に呟いた。  「吉良 由紀子だな?」 私の名前・・? 何故知ってる・・? 敵か・・? いくつもの疑問符が 私の脳内の中で 次々と羅列する。 そんな疑問符を打破する前に 私は 反射的に、 彼女から離れて 橋の手すりの上へと 身を飛躍させた。
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