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「……誤解…とな?」
ヒクヒクとすすり泣きながら大きな闇色の瞳を潤ませて此方を見つめてくる。
「そ…そう誤解だ!」
そんな目で俺を見ないでくれ…
コイツの瞳を見ていると何もかもその闇の中へ吸い込まれてしまいそうになる…
俺は吸い込まれる感覚を振り切ろうと、一歩下がり視線をそらせた。
「…………じゃあ…何故…何故メスの匂いがお主の体からそんなに濃く香っておるのだ…?」
誤解と聞いて少し安心したものの、まだ信用仕切っていない様で右手で涙を拭い少し目を細めながらじっとこちらを見据えている。
「だから…その…今日会社で女の子が探し物してて…それを…一緒に探してあげただけだよ…」
良い事をしたのに何故か後ろめたさを感じ口がどもってしまった…
「……はぁ………」
サキュバスは暫く黙り込むと大きなため息を付いた。
「お主は…とんだお人好しだな全く…」
「…お人好しで悪かったな………」
お人好しって…お前が勝手に変な思い違いしてたのが悪いんだろ!?
勝手に勘違いして怒っておいて、更にため息まで付かれ、いくらお人好しの俺でもすこしイラッとしたが、ここでまた何か言ったら後々面倒になると思い急いで口を噤んだ。
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