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俺はまだ部署に戻りたくなかったので皆が騒いでるマドンナとちょこっと時間を潰して帰るかと内田奈々に声を掛ける事にした。
「内田さんどうしたのこんな所で?」
「あっ!待って!!!ちょっとそこで止まって!そこから動かないで!!!」
内田は俺が近くに来るのを慌てて制止した。
「えっ!??どうしたの!!!?」
俺は言われるままその場で静止する。
「忙しいのにごめんね…ちょっとピアス落としちゃって………」
内田は相当困っているらしくこちらの顔も見ずに黙々と床を舐めるように見つめている。
ピアスか…時間かかりそうだな。このまま見つかるまで動かずに居るっていうのも辛い物があるなぁ…
仕様がない…乗りかかった船だ。
「手伝うよ。落としたのってどんなピアスなの?」
「えっ!!?ホント!??
あのね…ハートのやつなんだけど…
あ…!落としてないやつ見せれば早いね!
」
俺の一言が余程嬉しかったのかキラキラした目でやっとこちらを振り向いた。
「えっと…これなんだけど…」
内田は落としていないもう片方の耳からピアスを外し、女の子らしい小さく華奢な手のひらの上に乗せこちらへ差し出した。
それはプラチナで出来たちっちゃなハートに米粒くらいのダイヤが可愛らしく飾られた物だった。
「ふむ…なる程…分かった。
よし!探すぞぉ~!!!」
「探すぞぉ~!!!!」
俺たちは我を忘れ黙々と床に落っこちたお宝を探し始めた。
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