バレンタインデー

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 翌日………。  別に初体験を終えたからといってハルヒの性格が変わるわけでもなく、部室のドアを地球の裏側まで吹っ飛ばすような勢いで開けると、 「ニュースよみんな!映画の撮影で行った、山覚えてるわよね?その山の麓に古びた洋館があるんだけど、そこの住人が最近引っ越したの。その理由は幽霊が出たからだって言う専らの噂よ!」  どこの誰だよ?そんなはた迷惑な噂を流した野郎は。 「そんなの誰でもいいの!とにかくSOS団として、ほっとくわけにはいかないわ。みんな行くわよ!」  ハルヒはそう言って身を翻した。俺達が立ち上がると、ハルヒは一瞬だけこっちを振り返り、 「みくるちゃん、有希、それに古泉くん。いろいろごめんね」  と言って、脱兎の如く駆け出した。  朝比奈さんは目を満月よりも丸くしていたし、長門も口が僅かに開いていた。古泉は相変わらずの曖昧スマイルだったが、その唇の端が痙攣していたのを俺は見逃さなかった。  俺は古泉の代わりに肩を竦めると、我が愛しき団長の後を追った。  可愛い朝比奈さんがいて、無口な長門がいて、ついでにいけすかない古泉もいる。  そして俺とハルヒがいる。  今日もSOS団は世界を大いに盛り上げるため、精力的な活動を行うのであった。(終)
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