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何かおかしい。
そう気付きはじめたのは、午前を過ぎてデートもこれから真っ盛り、という時のことだ。
俺はハルヒと一緒にファミレスで昼食を食べているところだった。SOS団の団長殿は、俺の目の前でスパゲティーを盛大に啜り上げている。
「ちょっと、キョン!どうしたの、ボケッとして。いらないならあんたのカレーライス、あたしが食べちゃうわよ!」
よせ、やめろ、テーブル越しからフォークを突き出してくるな。俺はあわてて自分のカレーを死守して口にかき込んだ。そのとき―
「うん?」
不可解な風が俺の心を吹き抜ける。ハルヒがこれから驚天動地のことを言い出すような、既視感のような感覚。次に何が起こるのか、俺はどっかで経験した。そうだ、ハルヒはこんなことを言い出すのだ―。
「キョン、ここはあたしが払うわ!いっつもあんたに奢らせてばっかだしね。」
もちろん、この感覚には覚えがある。あの終わらない八月に、嫌と言うほど味わったからな。
『エンドレス・デイト』
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