エンドレス・デート

3/13
前へ
/484ページ
次へ
もとはと言えば、今日はいつもの市内パトロールの筈だった。だが、古泉がバイト、朝比奈さんは鶴屋さんに呼ばれてお茶の会に行くという。さすがに、長門まで「…用事。」と言ったときには、耳を疑ったね。 SOS団のメンバーのうち三人が欠席なんて、あのとき以来の珍事件だ。偶然にしては出来すぎている。となれば― 団員の三人が欠席するという事態にも関わらず、集合場所に一人佇む俺を見つけて、まんざらでもない表情を浮かべているSOS団の団長。 ハルヒ、おまえの仕業か? 「しっかし、有希まで用事とはねえ。まったくもって意外だわ。何かの前兆かしら?関東を襲う超巨大地震とか!」 いや、そんな時こそ、長門がいてくれたら心強いこと限りないのだが。長門なら、超巨大地震はおろか、超巨大隕石の直撃弾だって何とかしてくれそうだ。 空から考えることをやめた超生物が降って来たって長門がいれば安心だ。 ところで、今日は二人だけだが、どうするんだ、ハルヒ? 「もちろん、活動するわよ!SOS団の活動は永久不滅の運動だもの。まあ、二人きりだけど、不思議なことは気にしないでしょ。大人数で探せばいいってもんじゃないわ。案外、こういう時を狙って不思議な事件は起こるものなのよ!」 いつからSOS団は永久運動になったんだ。それにしても、二人きりだと、なんだかデートみたいだな… と言いかけた俺は、ハルヒの目から放たれる凶暴な光線にたじろいだ。しまった、やっちまった、今日は初っ端からいきなり失言か!? 古泉、お前のバイトを増やしちまいそうだ、正直、すまん。 「…ふーん、なんだ。キョン、デートしたいならそう言いなさいよ。」 えーと、なんですって、ハルヒさん?なんで既に幼馴染が照れ隠しで怒っているような口調なんでしょうか。 「しかたないわね、今日はあんたに付き合ってあげるわ。光栄だと思いなさいよ、バカキョン!」 ハルヒは満面に笑みを浮かべ、核融合ばりに目を輝かせて言い放った。こうして、俺とハルヒの一日デートが行われることに決定した、という訳だ。 ようやくだが、話を冒頭に戻すことにしよう。
/484ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1134人が本棚に入れています
本棚に追加