エンドレス・デート

4/13
前へ
/484ページ
次へ
強烈な既視感を味わった俺がやったことは、ハルヒにことわってトイレに駆け込み、そこから二人のSOS団員に電話をかけることだった。まず古泉。 『やあ、デートのほうはいかがですか。こちらは順調ですよ。閉鎖空間は拡大を完全に停止しました。あなたのおかげ、と考えてよいでしょう。涼宮さんの精神状態は非常に安定しています。少し高揚気味なの気になりますが。 ところで、どうしました?なにか涼宮さんを怒らせるようなことでも言いましたか?』 俺は手短に説明した。終わらない八月に感じたのと同じ、あの感覚を。今回はどういうことだ? 『八月の時と同じであれば、今日が何度も繰り返されていることになりますが…。それについては長門さんにお問い合わせください。推測ですが、今回のデートの内容に、涼宮さんは満足しないのではないでしょうか。 涼宮さんは、一日の終わりに自分のベッドの中で今日のデートを振り返り、やり損ねたことに気付く…そして、また同じ一日をスタートさせてしまうわけです。』 やれやれだ。 『あなたにできることは、一つしかありません。涼宮さんが満足できるように、デートに全身全霊を傾けてください。何一つ、やり残すことがないようにね。 いやあ、あなたと涼宮さんの熱いデートが見学できなくて残念です。デートという性格上、僕や長門さんが出て行くことはよろしくないでしょうから。なにかあったら連絡をいただけたら。では。』 切れた。次は長門だ。長門、今日が来るのは何回目だ? 『これで15498回目。』 またか。ひょっとして、俺が気付いたのは8769回目か? 『そう。』
/484ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1134人が本棚に入れています
本棚に追加