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強烈な既視感を味わった俺がやったことは、ハルヒにことわってトイレに駆け込み、そこから二人のSOS団員に電話をかけることだった。まず古泉。
『やあ、デートのほうはいかがですか。こちらは順調ですよ。閉鎖空間は拡大を完全に停止しました。あなたのおかげ、と考えてよいでしょう。涼宮さんの精神状態は非常に安定しています。少し高揚気味なの気になりますが。
ところで、どうしました?なにか涼宮さんを怒らせるようなことでも言いましたか?』
俺は手短に説明した。終わらない八月に感じたのと同じ、あの感覚を。今回はどういうことだ?
『八月の時と同じであれば、今日が何度も繰り返されていることになりますが…。それについては長門さんにお問い合わせください。推測ですが、今回のデートの内容に、涼宮さんは満足しないのではないでしょうか。
涼宮さんは、一日の終わりに自分のベッドの中で今日のデートを振り返り、やり損ねたことに気付く…そして、また同じ一日をスタートさせてしまうわけです。』
やれやれだ。
『あなたにできることは、一つしかありません。涼宮さんが満足できるように、デートに全身全霊を傾けてください。何一つ、やり残すことがないようにね。
いやあ、あなたと涼宮さんの熱いデートが見学できなくて残念です。デートという性格上、僕や長門さんが出て行くことはよろしくないでしょうから。なにかあったら連絡をいただけたら。では。』
切れた。次は長門だ。長門、今日が来るのは何回目だ?
『これで15498回目。』
またか。ひょっとして、俺が気付いたのは8769回目か?
『そう。』
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