さくせん

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まぁとにかく…『外』に出るにあたってもう一つ大事な事があるな…。   これはいささか聞きにくいな。     「えーと…桃華。一つ、最後に一つだけ、もう一つ覚悟が必要な事がある。」   「なんだ橙次郎?ここまで聞かされて今さら何を言われても私の覚悟は揺らがないぞ。」   「そうか…ここのドームを出るにあたって僕達はある程度の戦いはさけられない。この事は僕も昨日鳴哉から聞いて初めて知ったんだけど……その戦う相手のトップの名前は、日比野玄京。」   「…………。」     日比野玄京。   日比野グループの現会長。   そして…   日比野桃華の父親。   少なくても桃華はこの事実を知って少しは驚くかと思った。   しかし桃華は眉一つ動かさない。     「橙次郎…最後の覚悟とはその事か?」   「…そうだよ。」   「じゃあそれは間違いだ。私は家族を捨てる程の覚悟があると、最初に言ってたハズだ。それは最後じゃなく最初の覚悟だ。」   「……そう…だったね。悪かったよ。」     そんな事はわかってた。   僕はただ最後にもう一度確認したかっただけだ。   家族ともう会えなくなるかもしれないという事を。     「橙次郎。桃華ちゃんの覚悟は本物だよ。それとも覚悟が足りないのは橙次郎の方かい?」   「…バカ言え。僕に覚悟なんて必要ない。桃華に太陽を見せてあげる。覚悟じゃなくて約束だ。」   「じゃあいい加減作戦を考えよう。きっと桃華ちゃんがここにいるのもすぐにバレるよ。」     まぁ鳴哉のアパートがどうなろうと僕には関係ないけど…ここで桃華が連れ返されたら台無しだな。   それにしても…作戦ねぇ…。   『力』を使える千里がいるならばドームから出るくらい楽勝なような気がするけどな。  
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