さくせん

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  ……作戦…ねぇ。   昨日鳴哉に桃華の事を調べてもらっていた時にわかった事。   どうやらこのドームを仕切っているのが日比野玄京だという事。   確かに今各地に点在しているドームやシェルターは相当な権力者が仕切っているらしいけど…。   まさか日比野玄京がここを仕切っているとはなぁ。   日比野玄京との直接的な戦闘なんて起こりやしないだろうけど…にしても桃華がいるとやっぱりやりにくいかもな…。     「それにしてもあれだね、作戦って言っても大した問題は無いかもね。」     作戦を考えようと自分で言った千里がそんな事を言い始めた。     「だってそうだろ?機械的な関門は鳴哉の坊やがいれば問題無いし、直接警備がいるような関門は私がいれば問題無い。まぁどっちにしてもその場に橙次郎は必要だけどね。」   「……まぁ…その通りだな。」     ていうか建物の侵入や脱出においてこれ程無い最強タッグだ。   鳴哉の『力』は助かるな。   いくら僕のせいで与えられた『力』とはいえ。     「じゃあどうする?すぐ行っちゃうかい?」     千里の問いかけに僕は一瞬迷う。   桃華と鳴哉は、僕次第と言わんばかりに僕の答えを待っている。     「…1日…待ってくれないか?」   「なんだい橙次郎?このドームに未練でもあんのかい?」   「未練……か。まぁ似たようなもんさ。一年しかこのドームにいないとは言えこの人工的な明かりも恋しくなるだろうしね。いいかい桃華?」   「私は構わない。鳴哉と千里に聞いてくれ。しかし多分もう30分もしないうちに日比野グループの優秀なSP達が私を見つけて迎えにくるぞ。」   「それは私がなんとかするよ。1日ぐらい私がいればなんとなるさ。」   「しかし千里は橙次郎がいないと『力』がつかえないだろう?」   「はっ。桃華ちゃん、私はね戦争を抜けてからずっと、何でも屋をやってるんだ。『外』だろうと中だろうと修羅場はいくつもくぐってる。私に任せとけば億事オッケーさ。」   「そうか、ではよろしく頼む千里。」   「じゃあ僕からも頼むよ千里。」     それだけ言って、僕らは一旦別れた。  
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