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翌日、僕は学校の屋上に寝転がっていた。
昨日1日だけ時間をくれと言った後、皆と別れ自分のアパートに戻った。
いつものように普通にご飯を食べて普通に睡眠をとって普通に起きて普通に学校に来た。
学校に来たら鳴哉はやっぱり来ていなかった。
そりゃそうだ。
残り少ない時間をわざわざ学校に来る程鳴哉もバカじゃないだろう。
じゃあ何故僕はわざわざ時間をもらっておいて学校に来ているのか?
それは…特にする事が無かったからだ。
1日だけ時間をくれと言っといて、僕には特にする事が無かった。
未練…ね。
そう僕はこのドームに、戦争の無い平和なこのドームに、未練たらたらなのかもしれない。
自分で桃華に『外』に出すと言っておいてだ。
昨日千里に言われた“覚悟が足りないのは橙次郎の方じゃないのかい?”という言葉。
僕は“覚悟”じゃなく“約束”だと言った。
僕は千里の言葉を直接否定はしてない。
要するに僕には覚悟が足りないのかもしれない。
覚悟?
僕に必要な覚悟ってなんだ?
『外』に行く覚悟?
桃華に太陽を見せる覚悟?
それとも、覚悟ではなく、“また戦争に参加しなきゃいけなくなる”という怖れか?
…………。
いかん。
自分で決めた事なのにこんなに不安定になるなんて…。
全く、相変わらずなんて弱い人間なんだ。
千里のような芯の太さが欲しい。
鳴哉のような柔らかさが欲しい。
桃華のような心の強さが欲しい。
本当に自分で自分が嫌になるな…。
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