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灰色で染まった空気、そして汚されていくマイワールド。
いつまでこうしているのだろう。ほとんどベッドに横になったまま、一週間が経ってしまった。学校は休みつづけている。しかし、そんなことはお構いなしで毎日は過ぎていく。時間は目の前を漂っている、空気みたいなものだ。
両親は腫れ物に触れるように、わたしを扱う。
母親は、最低限の会話しか話したくなくそうに言う。
「今日も休む…んやんなあ? 大丈夫やから、学校には電話しとくから」
父親は、自分自身を納得させるために呟く。
「病気は治さなあかんもんな…そうやんな…」
もうそんな両親にも慣れてしまった。むしろ、そのほうが楽だと感じるようになっていた。何故なら、自分のこころを少しも触れられないからだ。それは、とても心地いいものになっていた。
急に学校を休み始めたかと思えば、一週間ほど前に「鬱病」と診断された娘というものを所持してしまった両親。まさか自分の娘が──というショックを受けながらも、やはりちらちら世間体を気にしている。
大人の世界というものは、とても厄介なものみたいだ。冷たいかもしれないが、それはわたしにしてみれば、知ったこっちゃない。
大人たちが作りだしている社会――いつかは誰もが放り出されるところ、どうでもいいつまらないことで乱れるところ。
でも、マイワールド――それは誰にも汚されない、たったひとつだけの、きっと武器になるものだ。
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