うまれる

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私は怒りを抑え込み、彼の話しに耳を傾ける事にした。   「何から話そうか。まずは全ての始まりから話そう。 ――あれは君の娘さんが産まれた日に起こった。君の娘さんを担当していた看護師が突然、全身から血を吹き出し倒れてしまったのだ。病院に運ばれたがその看護師は亡くなってしまった……。これが、この騒動の全ての始まりだ。その看護師は全身の血管がボロボロだった。血の流れが乱れ、速くなりすぎて血管が耐えられなくなり、血管の至る所で破裂したと、診察した医師は言っていた。 そしてその次の日、同じ病院の赤子数名がその看護師と同じ症状で亡くなったのだ。何故急に血液が激しく流れだしたのか誰にもわからず、原因が特定出来ないでいた。しかし、その血液を調べた結果、関係者は心の底から恐怖したそうだ。同じ症例の患者から、同じウィルスが発見されたのだ。しかし恐怖したのは、それが未知のウィルスだったからだ。 そこから医師達は原因を特定する必要性と患者を守る為、病院関係者全員に血液検査を実施した。すると、病院に居る患者のうち既に1/4にそのウィルスが見られたのだ。 医師達は恐怖した。そして医師達は未知のウィルスに感染している人たちを病院内に隔離したのだ」   彼の言葉を遮る様に私は言った。   「だから、娘が産まれてから一度も会えなかったのか!」   「それもあるが、君の娘さんには更なる秘密があったのだよ」 「それは何だ?」 「まぁ慌てるな。今、順を追って説明する」 そう言うと彼は再び話はじめた。
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