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「おそらく隔離をする。そしてウィルスの感染から防ぐ為、未知のウィルスの研究の為、我々の検査を受けてもらう事になるだろう……」
私は激怒した。
「ふざけるな!娘を何だと思っている!元凶だとか、恐怖しただとか!娘はまだ赤ん坊だ!人間だ!無垢な笑顔を振り撒くアキにそんなことさせられてたまるか!」
「わかってくれ、世界が滅びるかもしれないんだぞ。それに、早くしないと、君の奥さんまで死んでしまうのだよ」
そうだった。アキを連れて病院から出たという事はナツは常にアキの側に居ると言うこと。ウィルスの感染が最もしやすい場所にいるということだ。
今までアキの心配ばかりしていた。しかし、ナツが今危機におかされている。そしてナツはその事を知らないのだ。もしかするとナツはもう……。
「……わかった、協力する」
私は小さな声で、本部長に言った。
「ありがとう、助かるよ。で、何か手がかりでもあるのか?」
私の協力の意思を聞くと、本部長はアキとナツのいる場所の手がかりを訊いてきた。
「ある。……だけどそこには私一人で行かせて欲しい。それが協力する条件だ」
「何を言っている……」
私は本部長の発言を遮るように言った。
「必ず連れてくると約束する。それに、私だけの方が妻も逃げないだろうし、相手はウィルスだ、大勢で行っても無意味だろ?」
本部長は数秒考えて口を開いた。
「わかった、ただし無茶はするな。そして約束してくれ、絶対に連れてくると」
私は頷き、対策本部を後にした。
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