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来たときのように三並の運転する車に乗り、私は家に帰った。
家の前に着き、私は車から降りた。そして大きな段ボール箱も一緒に車から下ろした。
「くれぐれも無理しないで下さい。あと、外に出るときは最低限マスクをして下さい。おそらくウィルスは空気感染で移ると思われますので」
初耳だ。しかし、おそらく先刻聞いていても覚えてなかっただろう。……ってか。
「まて、空気感染ならやばいだろ、厳戒体制とか出さなくていいのか!?」
私は今になって徐々にウィルスの恐ろしさに蝕まれてきた。
「厳戒体制にはなりません。詳しくはお教えできませんが、早急にあなたの娘さんを保護しなくては被害が増えるということだけはお忘れなく」
三並はそう言うと車を走らせた。
私は家に入った。
家に入るとナツと暮らしていた頃を思い出す。
そして、子どもが出来たとわかった時に購入したこの家。私達三人で暮らすのが夢だった。
私は扉を開け、真っ暗な部屋に入ると電気を点けた。電気の明かりで部屋にあるものが照らされる。そこには子ども用のベッドが置かれていた。ここは子ども部屋である。
私は部屋のベッドを見つめていた、すると急に目から涙が流れてきた。
アキの不幸を呪う涙か?
私達の幸せを壊された涙か?
絶望からの涙か?
私にもわからなかった。私はしゃがみこみ、ただただ涙を流した。
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