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そこにはもう、人の住むことのなくなった民家が何件か並んでいた。
「ナツー、アキー」
私は大声をだし、ナツとアキの名前を叫んだ。しかし、返事が返ってこない。
いないのか?いや、声が聞こえてないだけなのかもしれない。いや、もしかしてナツはもう……。
自分に喝を入れ、弱気な気持ちを吹き飛ばし、ナツとアキの探索に廃村内を探し回った。
「ナツ!アキ!俺だ、ハルオだ!」
私は声を上げ、ナツとアキに存在を示すように探索した。一軒目の廃屋に入り、中を探索したが、人のいた気配はない。私はその廃屋を出ると、次の廃屋に入った。
すると、一人の人間が倒れている。
「ナツ?」
私はもしかするとナツが倒れているのかという不安もあり、走って駆けつけた。
しかし、そこにいたのは一人の男性。全身から血を出している。もうすでに息はなく、身体も冷たくなっていた。
この症状……。
もしかして!
やはり、アキはここにいた!もしかするともういないかもしれないが、この場所にいたはずだ!
私はこの廃屋から出ると、廃村内をしらみつぶしに探した。しかし、廃村内にはナツとアキはいなかった。
廃村の探索を諦め、帰ろうとしたとき草むらに人の通った跡を発見した。誰が通った跡かは分からない。しかし、ナツのような気がする。いや、ナツであって欲しい。
私は僅かな希望を頼りに、全力で走りナツとアキの後を追った。
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