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「ねぇ、ハルオ。何かおかしいの。病院が……。何が起きてるの?アナタの格好も何か変?それにアキが何かおかしいの?」
落ち着いてきたナツは、今まで疑問に思っていた事を私に聞いてきた。
私はマスクをナツに渡し、つけるように言った。ナツは不思議そうにマスクを付けた。
私はアキを抱き抱えながらナツの顔を見た。
「わかった、でも、この話を聞いても取り乱さないでほしい。……約束できるか?」
「大丈夫よ。聞かせて」
私は知る限りの事をナツに伝えた。
あまりにもショックが大きかったのか、ナツの顔が固まった。そして、しゃがみこむと声を出して泣いた。
ナツはこの話を始めは信じないと思っていた。しかし、否定しなかった。やはり、薄々気が付いていたのだろう。
私はナツに声をかけられなかった。私はアキを抱き抱えながら立ち尽くしていた。
多分、今声を掛けてもナツには何も聞こえない。私には何も出来ないのだ。
その時アキが泣き出した。私はあやしたが、アキは泣き止まない。オドオドしていると、私の腕の中にいたアキが急に軽くなった。
今まで泣いていたナツが起き上がり、アキを抱き抱えたのだ。
「お腹空いたの?」
アキに母乳を与えると、みるみる内に泣き止み満面の笑みに変わった。
今まで取り乱していたのに、アキの泣き声を聞くと直ぐに立ち直る。さすが母親だ、私には到底無理だろう。
「駄目ね、この子のために私がしっかりしなくちゃね」
立ち直ったナツに私が問いかけた。
「なぁ、病院で何があった?」
ナツは答えようとせず黙っている。
「嫌ならいいんだ」
「いえ、ちゃんと貴方に言わなくてはいけないと思ってたの。貴方は父親だもの」
ナツはそういうと昨日あったことを話してくれた。
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