5402人が本棚に入れています
本棚に追加
「本部長、彼です」
本部長?対策本部のか?私を彼に会わせたかったのか?
「そうか、君が三宅君かね」
防護服を着ていて姿はわからないが、声からは年老いた印象を受ける。
「はい」
私は返事をした。
「立ち話もなんだ、この部屋で話をしようではないか。君も私に訊きたい事が山程あるんじゃないかね?」
核心にせまれる。そう直感で感じた私は、先刻まで入るのを渋っていた部屋に、疑いもなく入っていった。
部屋には本部長と呼ばれた男と、私の二人。二人は机を挟むような形で、向き合って椅子に座っている。
「妻と娘はどこにいる、無事なのか!?」
私は、彼にナツとアキについて訊いてみた。すると、今まで誰も答えてくれなかったが、彼は答えてくれた。
「正直なところわからない。我々も知りたいのだ。そして実を言うと、君に奥さんと娘さんを連れてきて欲しいのだ」
「ふざけるな!ここまで連れてきておいて、知らないだと。何なんだお前達は!」
私は怒りをぶちまけた。ここまで、連れて来ておいて約束が違う。今まで我慢していたモノが溢れかえった。
「まぁまぁ、落ち着け。確かに君の言うことはごもっともだ。それに、ただ奥さんを連れてきて欲しいでは意味が分からんだろう?君に今まで何が起こったか教えよう。そして、奥さんと娘さんが置かれている状況を教えようではないか。それを聞いて奥さんと娘さんを探し、連れてきてこれるか君に判断してほしい」
最初のコメントを投稿しよう!