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まだ日も昇らない明け方。
郊外にたたずむファクトリーの中庭のベンチに、一人の少年が座っていた。
吐き出す息が白い。
かじかむ手にふぅとその白い息を吹きかけた。
少年の名前はレイ。このファクトリーで暮らしている。
レイはこんなキンと冷えた暗闇が好きだった。
闇の中にいると、自分も大気に解けていきそうな気がする。
いっそ本当に闇と化してしまえばいいのに。
そんなありえない願いを込めて、レイはゆっくりと目を閉じた。
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