レイ~銀の都市ヴァジュラ~

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   ――汚子(よごれご)。  彼は仲間からそう呼ばれている。  いや、他人を仲間と思ったことはない。この世に仲間と呼べる人などいない。  汚子のレッテルが、他を寄せ付けない。  彼に味方する人間など、彼が育った育児施設の施設長セナだけだった。  彼女以外は、同期の施設の子等すら彼を遠ざけている。    ――なぜ、俺はこの世に生まれてきたのか。    それは、どんなに考えても結論の出ない問いだった。    やがて空は昇る太陽の光に照らされて色をつけていく。 「もう、朝なのか……」  今日も、飽き飽きとした流れ作業が待っている。  重たい気分ととにも重い腰を上げた。  闇より、光刺す時間のほうが辛い。  足を踏み出すと地面は、じゃりっと霜柱のつぶれる音がした。  
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