第一章「自分の持つ力」

3/22
前へ
/141ページ
次へ
黒井は答える。 「と、いいますと?」 「実のところ、不安だったんだ。 俺は自分が責任者に適任だとは思わない。 確かに名誉な事だと思うが俺はそんな器を持ち合わせてない」 ライは顔を下げながら言った。 ライは昨日からずっと思っていた。 父はああ言ったが自分が父を越しているとは思えない。例え、超していたとしてもだ、自分より強い者はいるだろう、とそして何よりライは不安だった。 自分がMPS責任者になったとしよう、そうしたら多くの人が俺に期待するだろう、だが俺は期待にちゃんと応えられるのか?と。 先ほど弱音は吐かないと決めたがやはり14歳には無理だったようだ。 「だが、黒井。お前の笑顔で少し安心したよ」 ライは疲れた笑顔を見せる。 「そう……ですか」 黒井は思った。 何故このような子がこんな悩みを持たないといけないのだ、と、黒井はこの子を守ろうと心の中で誓った。 「なぁ、MPSの構成を説明してくれないか?それと俺がこれから何をしないといけないのかを……」 黒井が淹れた紅茶を飲み、元気を取り戻したライはそう聞いた。 「わかりました。では説明します。まずMPSの事からにしましょう。 MPSは10の隊をつくる予定です。 数が少ない隊程、強いようになっていき、犯罪レベルによってそのレベルに見合った隊を出動させます。 そしてその隊を纏める司令塔が青葉様。あなたということになります。青葉様も出動する事もあります。 いずれ魔法学校から強い者をよび人数を増やしていく予定です。 そしてMPS第一支部、第二支部など増やしていくのです」 黒井は話を止めたかと思うと紅茶を指差し冷めますよ?と微笑む。 「そういえばまだ隊に所属させる奴決まってないんだろう?」 ライは紅茶を一気に飲み干すと言った。 「それなんですよ。それが青葉様の次の仕事と関係してくるんです。 実は二番隊から十番隊までは決まっているんですが…一番隊隊長が決まってないんです」 黒井は困ったように話す。 ライは口を開く。 「それが俺の仕事とどう関係あるんだ?」
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4565人が本棚に入れています
本棚に追加