4565人が本棚に入れています
本棚に追加
「…魔法を止めた?」
真紀はその目に映る光景が信じられなかった。魔法を止める?有り得ないそんなことできるはずない、そう思ったのである。
無理もない、魔法を止めるなど前代未聞だ。
驚いていたのは黒井も一緒であった。
黒井は魔法を止めるという行為は理論上できると知っていた。
だが自分や他の者ができなかった。そう…足りなかったのだ魔力が。
魔法を止めるという行為はその魔法を魔力で包むことで理論上はできる。
だがその魔法に使う魔力の約10倍の膨大な魔力が必要とされるのだ。
だから無理であった。
だが彼はいとも簡単にやった。その膨大な魔力に黒井は純粋に驚いていた。
「雷よ…その力を我に捧げよ…'大雷(タイライ)'」
ライは依然と驚く二人をよそに詠唱を終え手を上に突き上げた。
ズドォォン!といった騒音が辺りに響く。
雷(かみなり)がライの突き上げた手に落ちたのだ。
これにより二人はより驚く。
黒井にいたってはその美形を崩し口をあんぐり開けている。
煙りが舞う。
煙りが晴れた。そこに確かにライがいた。無傷で。
しかし全く変わっていないわけではない。
ライの体全体がバチバチと電気に包まれている。
青い電気は螺旋状に足や胴、手などすべての部位に電気をまとっている。
その姿は神々しいと呼べた。
「ふぅ…久しぶりだったからできないとおもったができたな…」
ライは自分の手足を見ながら言った。
「なっ…なにそれ?」
ついに真紀が口を開いた。
「これか?…魔体術というものだ。自分の攻撃魔法を体に宿し身体能力を上げることができる。
だが少々危険な技なんだ。
魔法の威力が強ければ強い程体に負担がかかるんだ…あまり使える技ではない
説明が終えた所で、いくぞ!」
ライはかつて父に教わった知識を真紀に話す。そして単純な突きを繰り出す。
それを見た真紀は咄嗟に強化魔法を泳唱破棄して手の平で受け止めた。
「いったぁー」
と真紀が呟いた時、黒井が口を開いた。
「……ここまでです。」
最初のコメントを投稿しよう!