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紅茶をすするライ。目を細めるその表情は幸せそのものだ。
「では真紀さん。あなたはこれから一番隊隊長です。これが隊長権限の全てが使えるカードです。くれぐれもなくさないでください」
黒井はそう言い懐から青いカードを取り出し真紀に渡す。
そのカードは真ん中にMPSと書いてある。
「ありがとうございます。ところで隊長権限って何ですか?」
使い慣れない敬語を駆使する真紀。
「隊長権限というのはですね。MPSの隊長が政府からもらえる権限の事です。これがあれば大抵の事はできます。例えば、事件現場に行ったとします。ですが真紀さんはまだ若いのでMPS隊長とは信じてもらえません。ですがこれがあればその場の警察は己の手足のごとく動いてくれます」
黒井はスラスラと噛まずに言った。
「…凄い…」
「そうだ。青葉様。これがあなたのカードです」
黒井はライの近くにより赤いカードを手渡した。
「なんだこのカード?」
ライは赤く真ん中にMPSと書いてるカードを不思議に見る。
「これはMPS最高責任者のカードです。これがあればMPSの総資産100兆円を使うことも可能です。ですがあまり無茶な使い方は避けてください。」
「……100兆…。…気をつける…」
ライはそう言うとカードを懐に収めた。
「では、私は真紀さんを一番隊隊長の部屋に案内してきます。それとケーキが冷蔵庫に入っていますのでお食べ下さい」
黒井はニコっと笑う。
黒井はわかったのだ。
ライが甘党だということを。
黒井は終始ニコニコしなが真紀をつれて部屋を出た。
ライは一人取り残された部屋で冷蔵庫へと足を進めた。
冷蔵庫を開けるとケーキが一切れお皿に乗っているのが見えた。
上の方にあるのでライは背伸びをして腕を伸ばす。
「ふぬ!」
しかし残念ながら何度やってもケーキには届かない。
ライはデスク専用の椅子を持ってきた。
その上に乗って再度、ケーキへと腕を伸ばす。
届いた!と内心喜びながらピョンっと椅子から下りてケーキを口に含んだ。
「……はぁ…幸せ…」
思わず独り言を呟くライであった。
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