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ライは今、MPS、対・魔法犯罪組織の本部と呼ばれる建物の前にいた。
最上42階という大きさにライはびっくりしていた。
見上げると首が痛い。それほど高いのだ。
政府が大金をかけているとは思っていたがここまでとは、とライは考える。
立ち止まり目の前にそびえ立つ建物を見上げるライに黒スーツは何も言わず3歩後ろに立つ。
「悪かったな。では、行こう」
ライは拳を強く握った。これから自分は辛く厳しい道を進むだろう。
だが、弱音は吐かないと拳に誓ったのだ。
ライは黒スーツについて行く。
中に入ると受け付けが見える。
人は誰もいない。広いスペースに沈黙が続く。
スタスタと歩く黒スーツの後ろを歩くとエレベーターが見えた。
エレベーターには大きく司令室直行とかかれた札がある。
黒スーツは赤いカードを取り出すとエレベーターの横にある細長い窪みに差し込んだ。
エレベーターが音もなく開く。
二人は乗り込む。すぐさま扉が閉じ上へと動いた。
1分程経つとエレベーターの浮遊感がなくなった。
それと同時に扉が開く。
目の前に見えたのは大きな扉、「司令室」と書いてある。
黒スーツが扉を開きライを中へと促した。
ライは唖然とした。司令室ということは自分の仕事をする部屋ということはわかっていた。
だが…あまりにも広すぎる。デスクやソファーにベッドと色々な物が置いてあり中流の青葉家からは見たこともないような質の高そうな物ばかりだ。
「ここが青葉様のオフィシャルルームになります」
ライの状態をフフっとクールに笑うと黒スーツはそう説明した。
ライをソファーに促すと自分も目の前のソファーに座る黒スーツ。
「言い忘れていました。私は黒井と申します。今日より色々と青葉様のお世話をさせていだきます」
黒井はグラサンを取りそう言うとニコッと笑った。
彼の素顔もまた美形だった。オールバックと言う髪型がとても似合うと言えるだろう。
ライはその笑顔を見て自分が誤解していた事に気づいた。
自分は初めて黒井を見た時、クールな人だと思ってしまった。
だが、こんな表情も出来たのかと思い改めて黒井という人物を記憶した。
「黒井か。……はぁ、よかったよ、お前が無表情のクールな奴じゃなくて」
微笑するライ。
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