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白鳥は、恥ずかしそうに顔を赤らめてぺこりとお辞儀をすると、そのまま教室を飛び出していった。なんだったんだろう。
とりあえず手紙を胸ポケットにしまい、後で読むことにする。
ちらりと時計を見ると、お昼休み終了まで後五分になっていた。早く弁当を食べ切らなければ。
「お前、いいなあ。ラブレターなんかもらってさ。俺も誰かからラブレター欲しいなあ」
先に食べ終わっていた、淳が妬ましそうに言う。
「じゃあ、俺が書いてやるよ」
俺は、最後の一切れになったハンバーグを箸でつまみ、口に放り込んだ。
「お前からじゃ意味がないんだよ。ああ、言いよなあ。言いよなあ」
このまま淳と話していても面倒なので、残り少なくなった弁当をかきこんだ。口いっぱいに、ご飯がつまり苦しいので、お茶をごくごく飲む。喉のつまりがとれたら、生き返るような気がした。
弁当のゴミを、コンビニの袋に入れてかばんの中に入れる。
淳はまだ言いよなあ、言いよなあと呟いている。
「お前にもきっと、春が来るよ」
ふふんと笑って、後ろに向けていた机を前に向けた。
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