大きなどんぐりの木の下での巻

6/12
前へ
/12ページ
次へ
白鳥からの手紙は、どう考えてもラブレターだ。ラブレターなんて、今まで一度ももらったことないけど、それくらいはわかる。 放課後に、校庭の大きなどんぐりの木の下に来てと書いてあった。行こうか行かないでおこうか、迷うところだ。 淳に相談しようかと一瞬考えたけど、あいつは口が軽いから面倒なことになりそうだ。 うんうんと悩んでいると、キンコーンカンコーンと考えを遮るように、授業終了のチャイムが鳴った。 考える時間がなくなってしまったので、白鳥はそんなに悪いやつでもなさそうだし、惚れた理由が気になるのでとりあえず行ってみることにした。 放課後になった。早く、大きなどんぐりの木の下に行かなければと思いながら、かばんの用意をしていると、太一が俺の机の前にきた。太一は、週一でゲーセンに遊びに行くゲーセン仲間だ。ゲーセンに行かないかというお誘いだろうと思った。 「今日、ゲーセン行かないか?」 目をきらきらさせて、太一は言った。やっぱりと心の中で呟く。 「悪い、俺、ちょっと用事あるから」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加