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そう言ったら、太一は「えっ」と小さく言って、しょんぼりとした顔になった。
「ごめん、明日じゃ駄目か?」
その言葉を聞いた途端に、太一は目をぴかぴかと輝せた。
「わかった、明日ゲーセン行こうな!」
太一は、ルンルンと鼻歌を歌いながら自分の席に戻っていった。
太一との話で時間をくってしまったから、白鳥はもう帰ってしまったかもなと思いながら、校庭まで走る。
校庭では、サッカー部が練習をもう始めていた。
練習に夢中だから大丈夫だろうけど、サッカー部に見つかって噂になるのは嫌なので、こっそりこっそりと大きなどんぐりの木まで歩いた。
ちょこんと木の根に座り、白鳥は黙々と本を読んでいた。
表紙には、太宰治の人間失格と書かれていた。
読んだことはないけど、気になる題名だ。
読み終わるまで後、数ページみたいだから、それまで待っていようと思い、白鳥の横に座った。
木の根はごつごつとしていて、座りにくい。お尻が痛くなりそうだ。
よく白鳥は座って本を読めるなあと感心した。
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