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「ねえ、小林君立ってくれない?」
スカートをぎゅっと握りしめ、白鳥は何かを決意したかのように言った。
「あ、うん」
俺は素直に立ち上がった。お尻が汚れているのかは、見えないからわからないけど、木の根に座っていたので、とりあえずぱんぱんと叩いた。
そして、白鳥のほうを見つめた。
白鳥は、熱があるかのように顔が真っ赤だった。ふるふると頭を何度も振った。
白鳥の緊張が俺にも伝わってきて、歯ががちがちと震えた。
「よし」と白鳥は小さく呟くと、俺の目を見つめた。
視線と視線がぶつかる。そらしたくなったけど、白鳥に失礼だと思ってやめた。
「あのね、あのね。私、小林君のこと、春の体育祭のときからずっとずっと好きだったの。よかったら付き合ってください。お願いします」
白鳥は、ぺこりと頭を下げた。顔は髪に隠れて見えないけれど、多分、茹で上がったえびみたいになっているだろう。
「いいよ、よろしく」
俺はにっこりと笑った。
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