318人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、あの!放課後、体育館の裏に───」
「渡(わたる)、飯食いに行くぞ」
「はいよ」
彼は女子の言葉を無視して教室を出た。その後ろを渡がついて行った。
「またか…あれで何人目だ?」
さっきの出来事を見ていたクラスの中の男子の一人が言った。
それにつられて他の男子も口を開いた。
「天空が無視したのは今日で六回目だよ。」
「あ~ぁ、あの子泣いちゃったよ。せっかく勇気を出して話しかけたのにな」
「あいつ、性格がああじゃなかったら友達になれそうなんだけどな」
男子達は彼の後ろ姿を見ていた。
「でも、なんであのオタッキーの渡が、天空の唯一の友達なんだ?」
「渡がなれるなら、俺もなれそうなんだけどな」
「あ~無理無理、俺もこの前天空に話しかけたけど無視されたぞ」
男子の一人が、ばつの悪そうな顔でフラフラと手を振った。
「根は良い奴なんだろうけど……」
男子達は大きくため息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!