冷酷な貴公子

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「あ、あの!放課後、体育館の裏に───」 「渡(わたる)、飯食いに行くぞ」 「はいよ」 彼は女子の言葉を無視して教室を出た。その後ろを渡がついて行った。 「またか…あれで何人目だ?」 さっきの出来事を見ていたクラスの中の男子の一人が言った。 それにつられて他の男子も口を開いた。 「天空が無視したのは今日で六回目だよ。」 「あ~ぁ、あの子泣いちゃったよ。せっかく勇気を出して話しかけたのにな」 「あいつ、性格がああじゃなかったら友達になれそうなんだけどな」 男子達は彼の後ろ姿を見ていた。 「でも、なんであのオタッキーの渡が、天空の唯一の友達なんだ?」 「渡がなれるなら、俺もなれそうなんだけどな」 「あ~無理無理、俺もこの前天空に話しかけたけど無視されたぞ」 男子の一人が、ばつの悪そうな顔でフラフラと手を振った。 「根は良い奴なんだろうけど……」 男子達は大きくため息をついた。
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