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腕で顔を守る、が、フォークはなかなか飛んでこない。そっと目を開けると、目の前に流れるような黒い髪があった。
「さすが潤。ナイスキャッチ」
さっきの男が笑う。
「…誰だ今フォークを投げたのは…部外者が人のトラブルに手を出すな!!」
と前に立っている黒髪が一喝すると辺りは黙り込む。
くるりと俺に顔を向けた黒髪も、林葉や響のように、そしてぶつかった男に負けず劣らずの美形だった。
「大丈夫だったか?」
左手に握られたフォークを見て黒髪の人、潤と呼ばれた人が助けてくれたのだと理解する。
「…ありがとな?」
でてきた精一杯の言葉だった。
なんでか解らないが胸が熱くなってドキドキしているのが解る。
綺麗な黒髪に、整った顔立ち。意思を映す瞳は黒く……吸い込まれそうだった。
…………?
相手も黙り込んでいる。ってか硬直してる……。
そこに、ぶつかった男が乱入してきた。
「お前、名前は?」
偉そうだ。
さっきから見るからに偉そうだ。
…人に訊く前に自分が名乗れってのに…
「俺は九条樹[クジョウ イツキ]だ、お前は一年だろ?」
うわ…
心読まれた!!読心術!?
「…太陽、声に出てるよ…」
控え目に声をかけてくれた恵。マジっすか…
「俺は高梨太陽…です。」
一応敬語。
「……俺は基織潤[モトオリ ジュン]だ」
挨拶したし…
謝ったし…
周り五月蠅いし…
飯食いたいし…
恵も響も来てるし…
ハンバーグ来るし…
………もう良いよな。
「よし、飯食おう恵、響!!」
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