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「あなた、もう朝の7時ですよ。そろそろ起きてください。」
妻の声で目を覚ますと、私は普段着を着たまま寝ていることに気付く。おかしいな。いつもちゃんと着替えて寝ているのに。
「お母さん、私の帽子どこ?」
友里の声が聞こえたので、私は仰天する。
「洗濯機のわきに置いてあるわよ」という妻の声が聞こえた。
机の上にある携帯電話をつかむ。携帯を開くと、そこには5月9日(金)AM7:00と表示されていた。
うそだ。まさか……そんなはずはない!!
まだ夢が続いているのか?
立ち上がると、近くに積み上げてあった本に足をとられて転んでしまった。
壁に頭をぶつけ、額がヒリヒリ痛む。
夢では…ない…?
「あなた、どうしました?」という声と同時に、妻がドアのすき間から顔をのぞかせた。
「お父さん、おっちょこちょいだね。」
妻の横で、友里が無邪気に笑っている。
「友里……幸江……」
私は娘と妻の顔を凝視した。幻じゃ…ないよな?
「まったく、少しは部屋を整頓してくださいよ。」
妻が呆れ顔で階段を降りていく。
まさか…本当に願いが叶ったのか?5月9日に戻ったのか?
私は急いで一階に降りると、居間に置いてある新聞を手にとった。確かに5月9日金曜日とある。
リモコンを手にテレビをつけた。
『おはようございます。5月9日金曜日、朝のニュースをお伝えします。』
…間違いない。私の願いは叶ったのだ。
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