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悲しみに沈む私を見て、ルーニーは「犯人に対して、今どのような気持ちを持たれていますか?」と質問した。
「君、もしかして報道関係者か?ならばお断りだよ。今は誰とも話したくないんだ。」
「いえ、私は報道関係者ではありません。」
ルーニーが鋭い眼光で私を見据える。
「もし、ここに犯人がいたとしたら、どうします?」
「殴りたい。正直殺してやりたいよ。でも、それは娘の命の価値をおとしめるものだ。娘はそんなことを望んでいない。」
「では……」
ルーニーが腕を組む。
「もし、今願いが一つだけ叶うとしたら、何を願いますか?」
「もちろん!!」
答えは決まっている。
「娘を返してほしい。いや、昨日の朝に戻りたい。あの日のあの時間に横断歩道を渡らなければ、娘は死ななかった。」
「その願いは叶います。昨日の朝に戻りたいのですね?」
一体何を言い出すのだ。この男は。もしかして私はまだ夢を見ているのか?
「もう一度布団に入って寝てください。目が覚めたとき、時刻は5月9日の朝7時です。」
やはり、まだ夢を見ているのだな。きっと心の整理がつかず、頭が混乱しているのだ。
「しかし、一つ注意があります。」
ルーニーは私の目の前で人差し指を立てた。
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