最終章―危ない美女と俺

2/40
前へ
/262ページ
次へ
俺の誕生日から一ヶ月が経ち、季節は十月に入った。 最高のプレゼントを手にした俺は、誕生日の次の日をにやけの過去進行形で過ごした。 怜香も俺ほどではないにしろそれに似たようなものだった。 それから毎日飽きることなく怜香と過ごし、学校が楽しく思えている。 そんなある日の朝、いつの間にか俺の前の席に座った勝が口を開いた。 「俺ってどうして彼女ができないんだ?」 そう言う勝の顔はいつになく真剣だった。 勝は先週、他校の人に告白してフラれたらしい。 どっちかと言えばカッコイイ側に入る勝がフラれるってことは、告白のしかたが悪いか、雰囲気が変なのか……。 「とりあえず、人間になったら?」 「俺……人間じゃないのか?」 「高い確率で」 だってこいつ変態で、それでいて変態の存在を肯定するんだからな。 この前も、 『変態で何が悪いんだ? 男ならみんな変態だろ』 そんなの当たり前じゃん、的な感じで話してた俺を冷めた目で見てた。 希望? そんなものこいつの前では皆無に等しいけど、今回は本気で悩んでいるみたいだから何とかしてやろうか。 恥ずかしながら、こいつに助けられたりしたこともあったからな。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4721人が本棚に入れています
本棚に追加