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「女湯は男湯と同じ空間だから良く響いたわよ?六花の声が」
湯上りで上気した頬とは別の熱気を彼女から感じます
「あの、いや…《初めて》が沢山有りすぎて…」
楽しかった
シュウ君にも出会って、冷水に入れられはしたけど
それでも楽しかった
「そっかぁ…
良かったね、六花」
彼女が優しい目で僕を見た
今度はスリッパではなく彼女の手が頭に置かれ、撫でられた
「はい、特にラテン風呂が」
「どんなノリのいい風呂よ」
なにか違ったみたいだ
「さてと、夕食まで時間があるから部屋でイチャイチャしよっか?」
彼女はそう言って歩き出す
「ゴロゴロの間違いでは?」
まだ日の高い時間
温泉という場所は、大きなお風呂に入りのんびりとする所のようだ
「お兄ちゃぁーん!」
バタバタという足音をたて、背後から聞き覚えのある声がした
「あ、シュウ君」
僕よりも低い身長
そしてクリクリと丸い目を大きく開きシュウ君が走ってくる
「シュウ君?」
彼女はキョトンとし、走り寄る子供を見つめる
シュウ君は僕の前でピタリと止まり、満面の笑顔で言った
「あ~そ~ぼ!」
キラキラと眩しい笑顔のシュウ君に、僕は首を傾げた
「遊ぶ?」
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