37人が本棚に入れています
本棚に追加
「二人なのに広いじゃない、無駄に」
何故か部屋に付いてきた雫
「雫、温泉に入るんじゃなかったの?」
彼女は邪魔者を見るかのような目で雫を見る
ゴロゴロするつもりだった彼女にしてみれば、騒がしくなって迷惑なだけのようだ
「そんなの何時でも入れるから
……六花くん、そんな警戒しなくたっていいじゃない」
彼女の背中に隠れる僕に、雫が半眼で睨む
「アンタは前科持ちだからね」
彼女は僕に抱き着き庇うような格好をとり、目を鋭くして威嚇する
いつもと違う彼女の匂いに包まれて、なんだか幸せな気分です
そんな光景にシュウ君が
「ねぇ、お姉ちゃん達みっともないから止めなよ」
「「ゔっ」」
子供に呆れられ、二人は声を詰まらせた
「お兄ちゃんも、そんな猫みたいに目を細めないで」
あ、気持ち良くてつい…
シュウ君はまだ小さいのに随分としっかりしている
お風呂場の時と違う一面に、僕はなんだか感心した
「そ、それより雫
温泉に来てする“仕事”って何なのよ」
彼女が話題を変えようと雫に話を振る
「仕事は……仕事よ」
――?
雫の“仕事”に関する反応は、さっきと同じで何か変だ
最初のコメントを投稿しよう!