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つんつん
「六花」
つんつん
「りーっか」
――ん
つんつん
「六花ってばぁ」
――う~ん…
ゴチン
「おぉう!?」
頭部に走る痛みで目が覚める
「おはよ、六花」
悪魔の拳を持つ天使が見える
「またこんな所で寝て…
そんなに私と一緒に寝るのは嫌?」
拗ねたように口を尖らせる彼女
「そういう訳では…
何だかここが落ち着くので」
頭をさすりながら体を起こす
『リビングのテーブルの下』
僕が寝床としている場所だ
拾われた初日は彼女のベッドで一緒に寝させられた
包み込まれるような安心感がとても心地よかった…
蹴り出されるまでは
彼女の寝相は天性の輝きを放つ
睡眠時に限り、ベッドに存在する自分以外のものを排除する
人は勿論、布団から枕まで
「ふーん……そう
じゃあ、今日は一緒にお風呂はいるんだからね」
『じゃあ』の意味が解らない
「あの…話しの流れがよく…」
―ピンポーン
僕の言葉をチャイムが遮る
「ん?誰よ、こんな時間に」
勧誘や配達にはまだ早い時間だ
「桜ぁ!私だ!開けろ!寒い!」
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