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――バチン!!
と、本来なら彼女の平手打ちが雫の頬を捉えるはずだった
しかし雫は彼女の一撃を、表情一つ変えず片手で受け止めた
「雫、それ以上言ったら許さないからね」
初めて見る彼女の焦りと本気で怒った顔
「ふん、まぁいいわ
私が誰か忘れてないわよね、桜
この子を『視る』事が私には出来るんだから」
不敵な笑みを彼女に見せ、雫は立ち上がる
「桜、部屋に案内して
2日間お世話になるけどよろしくね……六花くん」
青い瞳が僕を射抜く
(人かどうかも怪しいもんだわ)
―じゃあ、僕は何?
―ここに居てはいけないの?
―僕は何故ここに…
何の為に…
僕は……………誰?
―――プツン
僕の意識はここで断ち切れた
暗闇に沈む瞬間に
彼女の寂しそうな笑顔浮かんで
――泣かないでよ
そして消えた
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