視る者

6/15

37人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
―――――――― 「……あ、桜さん あれ?僕は…………」 いつものテーブルの下ではなく、ベッドでの目覚めに違和感を憶える 「………六花、良かった…… 急に倒れたりして…… 次に心配させたらゲンコツだからね…」 目を赤く腫らした彼女の顔が間近に見える 優しくゆっくりと、僕の髪を撫でる 「はい、ごめんなさい…」 自分に非は無いのだけど、彼女を泣かせてしまった事の罪悪感で謝ってしまった 「ん、よろしい あと、雫の事……ごめんね? 生意気だけど素直でいい子なの 素直すぎて誤解も受けやすいんだけどね…」 そう言って彼女は困ったような顔をする 「雫の家は神社でね、彼女はそこの巫女なの 生まれつき特殊な霊媒体質らしくて、小さい頃から巫女になるための厳しい訓練を受けてきたから 厳しいのよ 自分にも、他人にも」 勝気な性格は環境によるものなのか 何だか納得してしまった 「六花は私のなんだから 何処にも行かないでね?」 すがるような彼女の眼差し 何でこんな事を彼女が言うのか 僕にはよく解らなかった
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加