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最早立ち上がるのは時間の問題かと思われた2人は、前傾姿勢のまま僕を見る
「急な質問だったので、少し考えてしまいました」
頭をポリポリと掻きながら言う僕に2人は
「私………であること?」
ポカンとする彼女
「………つまりどういう事?」
小首をかしげる雫
「えーと……
桜さんの目とか匂いとか髪の色とか……
チョコレート買ってきてくれたりとか頭を撫でてくれたりとか……
ハンバーグが焦げてたりとか辛いものが苦手なところとか……
多分、辛くて苦しいのに、僕に心配させないように頑張って笑ってくれる優しさにとか……です」
言い終わった後にはもう、険悪だったさっきまでの空気はなくなっていた
固まって動かない彼女をよそに、雫が声のトーンを1つ落として聞いてくる
「それはつまり……『全部』って事かしら?」
まじまじと僕の顔を見る
「えーと……そうなりますね」
嫌いな所が思い浮かばないという事はそうなんだろう
笑顔を見せる僕に固まっていた彼女が動き出す
「六花ぁー!!
私も好きぃーー!!」
瞳に涙を浮かべた彼女が抱きついてきた
「私の事、ちゃんと見てくれてるんだね…嬉しいよ…」
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