視る者

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「じゃあ、お風呂入ってくるから……… 雫、六花を襲わないでね?」 「誰が襲うか!!」 物騒なやり取りの後、名残惜しそうに彼女はお風呂へと向かった 雫との2人きりの空間に広がる緊迫感 雫は彼女の姿が完全に消えたのを確認すると、テーブルの前で正座している僕の真横に腰を下ろした 「ねぇ、私の事…桜から何て聞いてる?」 またあの射抜くような青い視線が突き刺さる 「あ、えーと…巫女をしているとかって聞きましたけど…」 性格云々は言わないほうが今はいいだろうな そう判断してそこは省いた 「そう、少し特異な体質でね だから『視える』の 相手の性質や過去、そして… 人間か、そうでないかも」 (人かどうかも怪しいもんだわ) ――またこの言葉 「何で僕を疑うんですか?」 ―違う、僕は知りたいんだ 「だって感じないのよ 誰でも持っているはずの『気配』があなたには無いのよ、六花くん」 真っ直ぐな瞳には力があった 「影が薄いって事ですか?」 ―僕は誰で、何なのか 「誤魔化そうとしても無駄 触れれば解る事だもの… あなたの唇に」 ―――? その言葉を理解する前に 僕の口は雫の口で塞がれていた
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