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「……どういう事?
こ、こっちが聞きたいわよ…
この子は『何』?
私が『視た』のに何も視えないなんて、今まで一度も…」
まるで悪魔でも見るような目つきの雫
「この子は六花よ
最初に言ったでしょ?
自分が誰か解らず、それが怖くてしょうがない小さな子なの
六花は記憶が無いんだから…
雫、こっちに来て六花を触って」
脅える雫を手招きする
「い、嫌よ!そんなものに…」
「いいから来なさい」
静かだが凄味のある声で雫の言葉をかき消した
彼女の迫力に圧された雫は、警戒しながらも彼女の前に座った
「雫、あなたには確かに『力』がある
普通の人には見えないものが見えるのは知ってる
でもその『力』はそれらを差別するために在るんじゃないでしょ?対話し、導くから『巫女』なんじゃないの?
ほら触って」
僕の手を掴み、雫へと向ける
少し躊躇いながらも雫は僕の腕に手を添えた
「あ………震えてる」
雫の顔から恐怖心が薄らぐ
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