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何なんだ?『せっぷん』ってこうしないと説明出来ないものなのか?
視界を奪われ恐怖心が広がっていく
「心配しないで、痛くないから」
―痛く?
何かされるのは間違い無い
しかし…
考える時間は与えられず、雫の手らしき感触が後ろ頭に感じられ
昨日嗅いだばかりの雫の匂いが急に強まる
―これは!
目を開き、近付く雫の顔を両手で防ぐ
「なっ、何をする気ですか!」
同じ体格の女性とは思えない力が上からかけられる
「何って『接吻』に決まってるじゃない」
空いてる片手で僕の腕をこじ開けようとする雫
「これは『キス』だって桜さんから教わりましたけど…」
じわりじわりと僕の防壁が崩れていく
「んふふふ、キスの事を『せっぷん』って言うの、この国ではね」
くるり……ドサ
ソファーを背にしていた雫が僕の左足を払い、掴んだ手を引っ張ると体が反転した
僕がソファーに沈み、雫は僕の両手を掴み押さえ込む体勢
「大丈夫、もう『視る』事はしないから
だから少し大人しくしてね?」
艶のある表情は、ゆっくりと距離を縮めてくる
「あの…桜さんに何度も釘刺されてませんでした?」
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