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「『精霊』って知ってる?」
それが雫の一言めだった
「『セイレイ』…ですか?
妖精とかならテレビで聞いた事ありますが…」
『美しい人』を指す言葉と認識している
「うーん、ちょっと違うわね
じゃあ『地水火風』って解る?
水や火、風といった『自然』の原理の事なんだけど」
水や風
窓開ければ吹いてくる風や、蛇口を捻れば出てくる水の事だろうか
「はい、多分…」
自信無さそうに答える
「その『地水火風』を司る存在
それが『精霊』なの
火には火の、水には水の『精霊』がいるって事、解る?」
自然を作っているのが『精霊』って事かな?
自分なりに解釈して頷く
それを見て雫は満足そうな表情をすると話しを続けた
「この『精霊』なんだけど、自然界に存在するだけじゃないのよ
花や木、命あるもの全てに流れているの…勿論、人間にもね」
雫の顔が真剣さを帯びる
「人間は精神の支配する生き物だから『精霊』の影響を受けやすいんだけど……
桜の両親はその『精霊』の流れが狂っていたの
考えられない程、異常に」
雫は視線を再び写真に戻した
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