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「狂っていた……ですか?」
『精霊が狂う』という表現の意味する所が分からない
「そう、狂うのよ
大なり小なり誰にでもある事なのよ、当たり前にね
『精霊』の働きは精神や肉体にも影響されるから、乱れれば病気にもなるし精神を蝕む原因にもなる、と言う事よ」
人差し指を立てて説明する
「でもあくまで『精霊』の作用は『きっかけ』でしかないの」
でも死んでしまった彼女の親
その差は何なんだろうか
「じゃあ、異常というのは?」
知りたかった
知らなければいけない気がした
雫は写真をテーブルに置き、手を組むと口元に近づける
「体温がね、上がり続けたの…
止まる事なく、死に至るまで
症状が出てからたったの2時間で、干物のような姿で死んだの、桜の両親は」
つまり、体温で焼け死んだ
そういう事なんだろうか
想像するだけで気持が悪くなる
「…それは『火の精霊』が狂ったという事ですか?」
干からびる程体温が熱くなる
単純な連想だが聞いてみた
「んー、そこが問題でもあるのよねー
体温の変化って『水の精霊』が作用するのよ」
ソファーに深く座り直すと続けた
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