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「人間の体というのは殆どが水分で出来てるの
だから水の精霊が乱れると発熱や免疫低下といった病気の初期症状を引き起こし易くなったりするんだけど…」
雫は眉間にシワを寄せ、難しそうな顔つきに変わる
「『火の精霊』は感情、主に『怒り』や『憎悪』に反応し増長するもので、身体に影響は無いはずなのよ……で」
考えを求めるような目で僕を見て言葉を切る雫
―本来、肉体に作用しないはずの精霊が体を蝕む
『怒り』、『憎悪』…
「もしかして…」
乏しい知識の中から浮かんだのは一つだけ
「恨み……ですか?」
僕の出した答えに
雫は小さく頷いた
「多分……というより今ではほぼ確信に近いと思ってるわ
呪いを目的とされる禁術
いわゆる『呪術』がかけられていた…というより、それ以外にあり得ない現象だというのが私の考えね」
呪い?呪術?
そんなものが人を殺したというのか?
「呪いとか、そんなものが本当にあるんですか?」
テレビで見た事がある
恨みや怨念だとかが人を呪い、対象となる人に害を与える
そんな内容で
そして不可思議で不確かなものだったと記憶している
しかし今
雫は真面目な顔で、『呪い』という言葉を使った
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