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―――――――
「じゃあ行ってくるね」
真っ赤なコートに黒のマフラー
暖かそうな格好に身を包む彼女は、これから大学へ行く時間
少し寂しくなる時間
「なるべく早く帰って来るからお利口にして待っててね?」
パッチリとした目に笑顔を乗せ、片手をヒラつかせる
「…うん、早くね?」
少し寂しそうに
僕は彼女を見つめて呟く
すると彼女は頭一つ小さい僕を抱きしめる
「反則でしょ、その顔は!
可愛いなぁオイ!私も寂しいけど我慢してね?」
―行ってらっしゃい
ドアが閉まり、数秒間の無音
彼女が僕に残した甘い匂いが心地よい
「さてと、マンガ本読も」
彼女は僕が寂しそうな顔で送り出すと、何故かお菓子を買ってきてくれる
チョコレート
とても美味しい食べ物だ
「この話しの後が気になる…」
彼女が愛読している少女マンガを数冊本棚から抜き取り、ベッドにうつ伏せになり本を開く
「『浮気』は悪い事なのか…」
これは僕の勉強
という名の趣味の時間だ
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