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あの騒がしくも賑やかな女性
今井 雫が帰ってから2週間が過ぎ、いつもと変わらない日常を過ごしていた
『じゃあ、また来るから』
それだけ言って帰って行った雫
雫のお陰で彼女の事を少し知ることができ、僕自身の在り方も考えられるようになった
怖い思いもしたけど、それ以上に得るものが多くてとても感謝している
彼女は今日も大学に行っていて、アパートにはいつものように一人きりでベランダで雪を見る僕がいる
雫が言うには今は『冬休み』という期間で、学生と呼ばれる人達は学校に行かなくて良いらしい
でも彼女は暫く大学を休んでいたらしく、他の学生よりもやらなければいけない事が多いとのことだった
「今日は…何を作ろうかな…」
夕飯までまだ少し時間があるけど、いつも笑顔で料理を食べてくれる彼女を想像すると、何だか幸せな気分になれる
「お肉があったから……
『すき焼き』がいいかな?」
冬の人気メニュー第一位
彼女が買ってきた雑誌にそう書いてあったのを思い出す
あれは確かに美味しそうだった
そんな事を考えていた時―
ビュウ!と強い風が雪を巻き上げ視界を奪う
思わず目を瞑り風が止むのを待つその間に、あの声が聞こえてきた
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