雪の声

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「やっぱり肉よね!特に牛肉! その中でも部位としては肩ロースが私は好きだな あ、知ってる?肩ロースって 『チャックアイロール』って言うらしいのよ」 何故か無駄に肉の知識が豊富な彼女は、「すき焼き」ですっかり上機嫌のようだ 「美味しかったですね」 僕はどちらかと言うと白菜や春菊のほうが美味しく感じだんだけどな すき焼きの余韻を楽しんでる彼女の前から食器を取り、後片付けを始める 「もう片付けるの? 少し休んでからにしたら?」 確かに食べ終わって直ぐでは落ち着かないけど、僕の頭は少し休むとまたあの声が聞こえてきそうで… 「洗い終わったらのんびりさせてもらいます」 出きるだけの笑顔でその場を立ち去りキッチンへと向かう 気を抜けば崩れそうな、そんな笑顔だから 「帰りなさい……か」 鍋をスポンジで擦りながら、無意識に口にした言葉 僕の帰る場所はここだよ 半分は本音で もう半分は強がりと希望 「六花ぁー!まだー?」 だってこの当たり前の日々が好きだから 「そんなに早くは終わりません」 この他愛も無い掛け合いですらも手放したくないから
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